れってな。行こう。行こう。俺なんか面白いぞ。俺のあだ名は空の鯨《くじら》と云うんだ。知ってるか。俺は鰯《いわし》のようなヒョロヒョロの星やめだかのような黒い隕石《いし》はみんなパクパク呑《の》んでしまうんだ。それから一番痛快なのはまっすぐに行ってそのまままっすぐに戻《もど》る位ひどくカーブを切って廻《まわ》るときだ。まるで身体《からだ》が壊《こわ》れそうになってミシミシ云うんだ。光の骨までカチカチ云うぜ。」
ポウセ童子が云いました。
「チュンセさん。行きましょうか。王様がいいっておっしゃったそうですから。」
チュンセ童子が云いました。
「けれども王様がお許しになったなんて一体本当でしょうか。」
彗星が云いました。
「へん。偽《うそ》なら俺の頭が裂《さ》けてしまうがいいさ。頭と胴と尾とばらばらになって海へ落ちて海鼠《なまこ》にでもなるだろうよ。偽なんか云うもんか。」
ポウセ童子が云いました。
「そんなら王様に誓《ちか》えるかい。」
彗星はわけもなく云いました。
「うん、誓うとも。そら、王様ご照覧。ええ今日、王様のご命令で双子の青星は旅に出ます。ね。いいだろう。」
二人は一緒《
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