台川
宮沢賢治

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)爽《さはや》か

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)。割合|肥沃《ひよく》な

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)河童取りあん[#「ん」は小書き]すた。

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例))もぢゃ/\してゐる。
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〔もうでかけませう。〕たしかに光がうごいてみんな立ちあがる、腰をおろしたみじかい草、かげろふか何かゆれてゐる、かげろふぢゃない、網膜が感じただけのその光だ、
〔さあでかけませう。行きたい人だけ。〕まだ来ないものは仕方ない。さっきからもう二十分も待ったんだ。もっともこのみちばたの青いいろの寄宿舎はゆっくりして爽《さはや》かでよかったが。
 これから又こゝへ一返帰って十一時には向ふの宿へつかなければいけないんだ。「何処さ行ぐのす。」さうだ、釜淵《かまぶち》まで行くといふのを知らないものもあるんだな。〔釜淵まで、一寸《ちょっと》三十分ばかり。〕
 おとなしい新らしい白、緑の中だから、そして外光の中だから大へん
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