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キックキックトントン、キックキックトントン。
「ひるはカンカン日のひかり
 よるはツンツン月あかり、
 たとえからだを、さかれても
 狐の生徒はうそ云うな。」
キック、キックトントン、キックキックトントン。
「ひるはカンカン日のひかり
 よるはツンツン月あかり
 たとえこごえて倒《たお》れても
 狐の生徒はぬすまない。」
キックキックトントン、キックキックトントン。
「ひるはカンカン日のひかり
 よるはツンツン月あかり
 たとえからだがちぎれても
 狐の生徒はそねまない。」
キックキックトントン、キックキックトントン。
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 四郎もかん子もあんまり嬉《うれ》しくて涙《なみだ》がこぼれました。
 笛がピーとなりました。
『わなを軽べつすべからず』と大きな字がうつりそれが消えて絵がうつりました。狐のこん兵衛《べえ》がわなに左足をとられた景色です。
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「狐こんこん狐の子、去年狐のこん兵衛が
左の足をわなに入れ、こんこんばたばた
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こんこんこん。」
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とみんなが歌いました。
 四郎がそっ
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