税務署長の冒険
宮沢賢治

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)牛《オックス》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)ご免|蒙《かうむ》りませう

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)ウ※[#小書き片仮名ヰ、138−4]スキー
−−

      一、濁密防止講演会

〔冒頭原稿数枚なし〕
イギリスの大学の試験では牛《オックス》でさへ酒を呑《の》ませると目方が増すと云《い》ひます。又これは実に人間エネルギーの根元です。酒は圧縮せる液体のパンと云ふのは実に名言です。堀部安兵衛が高田の馬場で三十人の仇討《あだう》ちさへ出来たのも実に酒の為にエネルギーが沢山あったからです。みなさん、国家のため世界のため大に酒を呑んで下さい。」(小学校長が青くなってゐる。役場から云はれて仕方なく学校を貸したのだが何が何でもこれではあんまりだと思ってすっかり青くなったな)と税務署長は思ひました。けれどもそれは大ちがひで小学校長の青く見えたのはあんまりほめられて一
次へ
全37ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング