んの星座がまたたきました。
 雪童子らは、めいめい自分の狼《おいの》をつれて、はじめてお互挨拶しました。
「ずいぶんひどかったね。」
「ああ、」
「こんどはいつ会うだろう。」
「いつだろうねえ、しかし今年中に、もう二へんぐらいのもんだろう。」
「早くいっしょに北へ帰りたいね。」
「ああ。」
「さっきこどもがひとり死んだな。」
「大丈夫《だいじょうぶ》だよ。眠ってるんだ。あしたあすこへぼくしるしをつけておくから。」
「ああ、もう帰ろう。夜明けまでに向うへ行かなくちゃ。」
「まあいいだろう。ぼくね、どうしてもわからない。あいつはカシオペーアの三つ星だろう。みんな青い火なんだろう。それなのに、どうして火がよく燃えれば、雪をよこすんだろう。」
「それはね、電気|菓子《がし》とおなじだよ。そら、ぐるぐるぐるまわっているだろう。ザラメがみんな、ふわふわのお菓子になるねえ、だから火がよく燃えればいいんだよ。」
「ああ。」
「じゃ、さよなら。」
「さよなら。」
 三人の雪童子は、九疋《くひき》の雪狼《ゆきおいの》をつれて、西の方へ帰って行きました。
 まもなく東のそらが黄ばらのように光り、琥珀《こはく
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