海と湛へる藍と銀との平野である
向ふの雲まで野原のやうだ
あすこらへんが水沢か
君のところはどの辺だらう
そこらの丘のかげにあたってゐるのかな
そこにさっきの宇部五右エ門が
やはりきせるを叩いてゐる
雪がもうここにもどしどし降ってくる
塵のやうに灰のやうに降ってくる
つつじやこならの灌木も
まっくろな温石いしも
みんないっしょにまだらになる
[#改ページ]
一七 丘陵地を過ぎる
[#地付き]一九二四、三、二四、
きみのところはこの前山のつづきだらう
やっぱりこんなごつごつ黝い岩なんだらう
松や何かの生え方なぞもこの式で
田などもやっぱり段になったりしてゐるんだな
いつころ行けばいゝかなあ
ぼくの都合はまあ来月の十日ころ
仕事の方が済んでから
木を植ゑる場所や何かも決めるから
ドイツ唐檜にバンクス松にやまならし
やまならしにもすてきにひかるやつがある
白樺は林のへりと憩みの草地に植ゑるとして
あとは杏の蒼白い花を咲かせたり
きれいにこさえとかないと
お嫁さんにも済まないからな
雪が降り出したもんだから
きみはストウブ
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