房に
まばゆい白い空がかぶさり
蜂《すがる》は熱いまぶたをうなり
風が吹けば白い建物
  ……一つの汽笛の Cork−screw ……
銀や痛みやさびしく口をつぐむひと
  ……それはわたしのやうでもある
    白金の毛あるこのけだもののまばゆい焦点……
半分溶けては雀が通り
思ひ出しては風が吹く
  ……どうもねむられない……
      (そらおかあさんを
       ねむりのなかに入れておあげ……)
杉の葉のまばゆい残像
ぽつんと白い銀の日輪
  ……まぶたは熱くオレンヂいろの火は燃える……
      (せめて地獄の鬼になれ)
  ……わたくしの唇は花のやうに咲く……
もいちどまばゆい白日輪
       :
       :
       :
      (ブレンカア)
      (こいづ葡萄だな)
  ……うす赤や黄金……
      (おい仕事わたせ
       おれの仕事わたせ)
       :
       :
       :
  朱塗のらんかん
      (百姓ならべつの仕事もあるだらう
       君はもうほんとにこゝに
       ひとをばかに
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