ならんでひかる……
鳥はいつかずっとうしろの
煉瓦工場の森にまはって啼いてゐる
あるいはそれはべつのくゎくこうで
さっきのやつはまだくちはしをつぐんだまま
水を呑みたさうにしてそらを見上げながら
墓のうしろの松の木などに、
とまってゐるかもわからない
[#改ページ]
一五二 林学生
[#地付き]一九二四、六、二二、
ラクムス青《ブラウ》の風だといふ
シャツも手帳も染まるといふ
おゝ高雅なるこれらの花藪《やぶ》と火山塊との配列よ
ぼくはふたたびここを訪ひ
見取りをつくっておかうといふ
さうだかへってあとがいい
藪に花なぞない方が、
いろいろ緑《グリーン》の段階《ステーヂ》で
舶来風の粋《いき》だといふ
いゝやぼくのは画《ゑ》ぢゃないよ
あとでどこかの大公園に、
そっくり使ふ平面図だよ
うわあ測量するのかい
そいつの助手はごめんだよ
もちろんたのみはしないといふ
東の青い山地の上で
何か巨きなかけがねをかふ音がした
それは騎兵の演習だらう
いやさうでない盛岡駅の機関庫さ
そんなもんではぜんぜんない
すべてかういふ高みでは
かならずなにかあゝいふふうの、
得体のしれない音をきく
そ
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