十月の末
宮沢賢治
−−−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)嘉《か》ッコは
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)仕事|助《す》ける
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#小書き平仮名ん、145−13]
−−
嘉《か》ッコは、小さなわらじをはいて、赤いげんこを二つ顔の前にそろえて、ふっふっと息をふきかけながら、土間から外へ飛び出しました。外はつめたくて明るくて、そしてしんとしています。
嘉ッコのお母さんは、大きなけら[#「けら」に傍点]を着て、縄《なわ》を肩《かた》にかけて、そのあとから出て来ました。
「母《があ》、昨夜《ゆべな》、土ぁ、凍《し》みだじゃぃ。」嘉ッコはしめった黒い地面を、ばたばた踏《ふ》みながら云《い》いました。
「うん、霜《しも》ぁ降ったのさ。今日は畑ぁ、土ぁぐじゃぐじゃづがべもや。」と嘉ッコのお母さんは、半分ひとりごとのように答えました。
嘉ッコのおばあさんが、やっぱりけらを着て、すっかり支度《したく
次へ
全13ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング