、ダー、ダースコダーダー。」それから、大人が太鼓を撃ちました。
達二は刀を抜いてはね上りました。
「ダー、ダー、ダー、ダー。ダー、スコ、ダーダー。」
「危なぃ。誰だ、刀抜いだのは。まだ町さも来なぃに早ぁぢゃ。」怪物の青仮面《あをめん》をかぶった清介《せいすけ》が威張って叫んでゐます。赤い提灯《ちゃうちん》が沢山|点《とも》され、達二の兄さんが提灯を持って来て達二と並んで歩きました。兄さんの足が、寒天のやうで、夢のやうな色で、無暗《むやみ》に長いのでした。
「ダー、ダー、ダー、ダー。ダー、スコ、ダーダー。」
町はづれの町長のうちでは、まだ門火を燃して居ませんでした。その水松樹《いちゐ》の垣に囲まれた、暗い庭さきにみんな這入《はひ》って行きました。
小さな奇麗な子供らが出て来て、笑って見ました。いよいよ大人が本気にやり出したのです。
「ホウ、そら、遣《や》れ。ダー、ダー、ダー、ダー。ダー、スコ、ダーダー。」「ドドーン ドドーン。」
「夜風さかまき ひのきはみだれ、
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月は射そゝぐ 銀の矢なみ、
打ぅつも果てるも 一つのいのち、
太刀《たあち》の軋《きし》りの
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