手紙 一
宮沢賢治
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)竜《りゅう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|疋《ぴき》
−−
むかし、あるところに一|疋《ぴき》の竜《りゅう》がすんでいました。
力が非常《ひじょう》に強く、かたちも大層《たいそう》恐《おそ》ろしく、それにはげしい毒《どく》をもっていましたので、あらゆるいきものがこの竜に遭《あ》えば、弱いものは目に見ただけで気を失《うしな》って倒《たお》れ、強いものでもその毒気《どくけ》にあたってまもなく死《し》んでしまうほどでした。この竜はあるとき、よいこころを起《おこ》して、これからはもう悪《わる》いことをしない、すべてのものをなやまさないと誓《ちか》いました。
そして静《しず》かなところを、求《もと》めて林の中に入ってじっと道理《どうり》を考えていましたがとうとうつかれてねむりました。
全体《ぜんたい》、竜というものはねむるあいだは形が蛇《へび》のようになるのです。
この竜も睡《ねむ》って蛇の形になり、からだにはきれいなるり色や金色の紋《もん》があらわれていました。
そこへ猟師共《りょ
次へ
全4ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング