病の痛みや汗のなか
それらのうづまく黒雲や
紺青の地平線が
またまのあたり近づけば
わたくしは切なく熱くもだえる
あゝ父母よ弟よ
あらゆる恩顧や好意の後に
どうしてわたくしは
その恐ろしい黒雲に
からだを投げることができよう
あゝ友たちよはるかな友よ
きみはかゞやく穹窿や
透明な風 野原や森の
この恐るべき他の面を知るか
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〔丁丁丁丁丁〕
丁丁丁丁丁
丁丁丁丁丁
叩きつけられてゐる 丁
叩きつけられてゐる 丁
藻でまっくらな 丁丁丁
塩の海 丁丁丁丁丁
熱 丁丁丁丁丁
熱 熱 丁丁丁
(尊々殺々殺
殺々尊々々
尊々殺々殺
殺々尊々尊)
ゲニイめたうとう本音を出した
やってみろ 丁丁丁
きさまなんかにまけるかよ
何か巨きな鳥の影
ふう 丁丁丁
海は青じろく明け 丁
もうもうあがる蒸気のなかに
香ばしく息づいて泛ぶ
巨きな花の蕾がある
[#改ページ]
病
高田
藤沢 ……なのを
太田 ……してくれない
高崎
菊池 ……松並木 暗いつゝみ
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