銀河鐵道の夜
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)南十字《サウザンクロス》へ着きますのは
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)あの森|琴《ライラ》の宿でせう。
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一 午後の授業
「ではみなさん、さういふふうに川だと云はれたり、乳の流れたあとだと云はれたりしてゐた、このぼんやりと白いものが何かご承知ですか。」
先生は、黒板に吊した大きな黒い星座の圖の、上から下へ白くけぶつた銀河帶のやうなところを指しながら、みんなに問ひをかけました。
カムパネルラが手をあげました。それから四五人手をあげました。ジヨバンニも手をあげようとして、急いでそのままやめました。
たしかにあれがみんな星だと、いつか雜誌で讀んだのでしたが、このごろはジヨバンニはまるで毎日教室でもねむく、本を讀むひまも讀む本もないので、なんだかどんなこともよくわからないといふ氣持がするのでした。
ところが先生は早くもそれを見附けたのでした。
「ジヨバンニさん。あなたはわかつてゐるのでせう。」
ジヨバンニは勢よく立ちあがりましたが、立つて見るともうはつき
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