りとそれを答へることができないのでした。ザネリが前の席から、ふりかへつて、ジヨバンニを見てくすつとわらひました。ジヨバンニはもうどぎまぎしてまつ赤になつてしまひました。
先生がまた云ひました。
「大きな望遠鏡で銀河をよつく調べると銀河は大體何でせう。」
やつぱり星だとジヨバンニは思ひましたが、こんどもすぐに答へることができませんでした。
先生はしばらく困つたやうすでしたが、眼をカムパネルラの方へ向けて、
「ではカムパネルラさん。」と名指しました。
するとあんなに元氣に手をあげたカムパネルラが、もぢもぢ立ち上つたままやはり答へができませんでした。
先生は意外のやうにしばらくぢつとカムパネルラを見てゐましたが、急いで、
「では。よし。」と云ひながら、自分で星圖を指しました。
「このぼんやりと白い銀河を大きないい望遠鏡で見ますと、もうたくさんの小さな星に見えるのです。ジヨバンニさんさうでせう。」
ジヨバンニはまつ赤になつてうなづきました。けれどもいつかジヨバンニの眼のなかには涙がいつぱいになりました。さうだ僕は知つてゐたのだ、勿論カムパネルラも知つてゐる、それはいつかカムパネルラ
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