車だつて歴史だつて、たださう感じてゐるだけなんだから、そらごらん、ぼくといつしよにすこしこころもちをしづかにしてごらん。いいか。」
そのひとは指を一本あげてしづかにそれをおろしました。
するといきなりジヨバンニは自分といふものがじぶんの考へといふものが、汽車やその學者や天の川やみんないつしよにぽかつと光つて、しいんとなくなつてぽかつとともつてまたなくなつて、そしてその一つがぽかつとともるとあらゆる廣い世界ががらんとひらけ、あらゆる歴史がそなはり、すつと消えるともうがらんとしたただもうそれつきりになつてしまふのを見ました。
だんだんそれが早くなつて、まもなくすつかりもとのとほりになりました。
「さあいいか。だからおまへの實驗はこのきれぎれの考へのはじめから終りすべてにわたるやうでなければいけない。それがむづかしいことなのだ。けれども、もちろんそのときだけのでもいいのだ。ああごらん、あすこにプレアデスが見える。おまへはあのプレアデスの鎖を解かなければならない。」
そのときまつくらな地平線の向うから青じろいのろしがまるでひるまのやうにうちあげられ、汽車の中はすつかり明るくなりました。
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