でした。見えない天の川のずうつと川下に青や橙や、もうあらゆる光でちりばめられた十字架が、まるで一本の木といふ風に川の中から立つてかがやき、その上には青じろい雲がまるい環になつて後光のやうにかかつてゐるのでした。
汽車の中がまるでざわざわしました。みんなあの北の十字のときのやうにまつすぐに立つてお祈りをはじめました。
あつちにもこつちにも子供が瓜に飛びついたときのやうなよろこびの聲や、何とも云ひやうのない深いつつましいためいきの音ばかりきこえました。そしてだんだん十字架は窓の正面になり、あの苹果の肉のやうな青じろい銀の雲も、ゆるやかにゆるやかに繞つてゐるのが見えました。
「ハルレヤ、ハルレヤ。」明るくたのしくみんなの聲はひびき、みんなはそのそらの遠くから、つめたいそらの遠くから、すきとほつた何とも云へずさわやかなラツパの聲をききました。そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを汽車はだんだんゆるやかになり、とうとう十字架のちやうどま向ひに行つてすつかりとまりました。
「さあ、降りるんですよ。」青年は男の子の手をひき、姉はじぶんのえりや肩をなほしながらだんだん向うの出口の方へ歩き出しま
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