二人は、前のあの河原を通り、改札口の電燈がだんだん大きくなつて、間もなく二人は、もとの車室の席に座つていま行つて來た方を窓から見てゐました。
八 鳥を捕る人
「ここへかけてもようございますか。」
がさがさした、けれども親切さうな大人の聲が、二人のうしろで聞えました。
それは、茶いろの少しぼろぼろの外套を着て、白い布でつつんだ荷物を、二つに分けて肩にかけた赤髯のせなかのかがんだ人でした。
「ええ、いいんです。」ジヨバンニは、少し肩をすぼめて挨拶しました。その人は、ひげの中でかすかに微笑ひながら荷物をゆつくり網棚にのせました。ジヨバンニは、なにか大へんさびしいやうなかなしいやうな氣がして、だまつて正面の時計を見てゐましたら、ずうつと前の方で硝子の笛のやうなものが鳴りました。汽車はもう、しづかにうごいてゐたのです。カムパネルラは、車室の天井を、あちこち見てゐました。その一つのあかりに黒い甲蟲がとまつて、その影が大きく天井にうつつてゐたのです。
赤ひげの人は、なにかなつかしさうにわらひながら、ジヨバンニやカムパネルラのやうすを見てゐました。汽車はもうだんだん早くなつて、
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