んだろう」二人《ふたり》は顔を見合わせましたら、燈台守《とうだいもり》は、にやにや笑《わら》って、少し伸《の》びあがるようにしながら、二人の横《よこ》の窓《まど》の外をのぞきました。二人《ふたり》もそっちを見ましたら、たったいまの鳥捕《とりと》りが、黄いろと青じろの、うつくしい燐光《りんこう》を出す、いちめんのかわらははこぐさの上に立って、まじめな顔をして両手《りょうて》をひろげて、じっとそらを見ていたのです。
「あすこへ行ってる。ずいぶん奇体《きたい》だねえ。きっとまた鳥をつかまえるとこだねえ。汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな」と言《い》ったとたん、がらんとした桔梗《ききょう》いろの空から、さっき見たような鷺《さぎ》が、まるで雪の降《ふ》るように、ぎゃあぎゃあ叫《さけ》びながら、いっぱいに舞《ま》いおりて来ました。するとあの鳥捕《とりと》りは、すっかり注文《ちゅうもん》通りだというようにほくほくして、両足《りょうあし》をかっきり六十|度《ど》に開いて立って、鷺《さぎ》のちぢめて降《お》りて来る黒い脚《あし》を両手《りょうて》で片《かた》っぱしから押《おさ》えて、布《
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