来たってしかたがねえや、ばさばさのマントを着《き》て脚《あし》と口との途方《とほう》もなく細《ほそ》い大将《たいしょう》へやれって、こう言《い》ってやりましたがね、はっは」
すすきがなくなったために、向《む》こうの野原から、ぱっとあかりが射《さ》して来ました。
「鷺《さぎ》の方はなぜ手数《てすう》なんですか」カムパネルラは、さっきから、訊《き》こうと思っていたのです。
「それはね、鷺《さぎ》をたべるには」鳥捕《とりと》りは、こっちに向《む》き直《なお》りました。「天の川の水あかりに、十日もつるしておくかね、そうでなけぁ、砂《すな》に三、四日うずめなけぁいけないんだ。そうすると、水銀《すいぎん》がみんな蒸発《じょうはつ》して、たべられるようになるよ」
「こいつは鳥じゃない。ただのお菓子《かし》でしょう」やっぱりおなじことを考えていたとみえて、カムパネルラが、思い切ったというように、尋《たず》ねました。鳥捕《とりと》りは、何かたいへんあわてたふうで、
「そうそう、ここで降《お》りなけぁ」と言《い》いながら、立って荷物《にもつ》をとったと思うと、もう見えなくなっていました。
「どこへ行った
前へ
次へ
全110ページ中47ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング