るように、天の川の底《そこ》の深《ふか》く遠いところほど星がたくさん集まって見え、したがって白くぼんやり見えるのです。この模型《もけい》をごらんなさい」
先生は中にたくさん光る砂《すな》のつぶのはいった大きな両面《りょうめん》の凸《とつ》レンズを指《さ》しました。
「天の川の形はちょうどこんななのです。このいちいちの光るつぶがみんな私《わたし》どもの太陽《たいよう》と同じようにじぶんで光っている星だと考えます。私どもの太陽《たいよう》がこのほぼ中ごろにあって地球《ちきゅう》がそのすぐ近くにあるとします。みなさんは夜にこのまん中に立ってこのレンズの中を見まわすとしてごらんなさい。こっちの方はレンズが薄《うす》いのでわずかの光る粒《つぶ》すなわち星しか見えないでしょう。こっちやこっちの方はガラスが厚《あつ》いので、光る粒《つぶ》すなわち星がたくさん見えその遠いのはぼうっと白く見えるという、これがつまり今日の銀河《ぎんが》の説《せつ》なのです。そんならこのレンズの大きさがどれくらいあるか、またその中のさまざまの星についてはもう時間ですから、この次《つぎ》の理科の時間にお話します。では今日は
前へ
次へ
全110ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング