すこにプレシオスが見える。おまえはあのプレシオスの鎖《くさり》を解《と》かなければならない」
そのときまっくらな地平線《ちへいせん》の向《む》こうから青じろいのろしが、まるでひるまのようにうちあげられ、汽車の中はすっかり明るくなりました。そしてのろしは高くそらにかかって光りつづけました。
「ああマジェランの星雲《せいうん》だ。さあもうきっと僕《ぼく》は僕《ぼく》のために、僕《ぼく》のお母さんのために、カムパネルラのために、みんなのために、ほんとうのほんとうの幸福《こうふく》をさがすぞ」
ジョバンニは唇《くちびる》を噛《か》んで、そのマジェランの星雲《せいうん》をのぞんで立ちました。そのいちばん幸福《こうふく》なそのひとのために!
「さあ、切符《きっぷ》をしっかり持《も》っておいで。お前はもう夢《ゆめ》の鉄道《てつどう》の中でなしにほんとうの世界《せかい》の火やはげしい波《なみ》の中を大股《おおまた》にまっすぐに歩いて行かなければいけない。天の川のなかでたった一つの、ほんとうのその切符《きっぷ》を決《けっ》しておまえはなくしてはいけない」
あのセロのような声がしたと思うとジョバンニ
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