むく、本を読むひまも読む本もないので、なんだかどんなこともよくわからないという気持《きも》ちがするのでした。
ところが先生は早くもそれを見つけたのでした。
「ジョバンニさん。あなたはわかっているのでしょう」
ジョバンニは勢《いきお》いよく立ちあがりましたが、立ってみるともうはっきりとそれを答えることができないのでした。ザネリが前の席《せき》からふりかえって、ジョバンニを見てくすっとわらいました。ジョバンニはもうどぎまぎしてまっ赤になってしまいました。先生がまた言《い》いました。
「大きな望遠鏡《ぼうえんきょう》で銀河《ぎんが》をよっく調《しら》べると銀河《ぎんが》はだいたい何でしょう」
やっぱり星だとジョバンニは思いましたが、こんどもすぐに答えることができませんでした。
先生はしばらく困《こま》ったようすでしたが、眼《め》をカムパネルラの方へ向《む》けて、
「ではカムパネルラさん」と名指《なざ》しました。
するとあんなに元気に手をあげたカムパネルラが、やはりもじもじ立ち上がったままやはり答えができませんでした。
先生は意外《いがい》なようにしばらくじっとカムパネルラを見てい
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