ことだ。断じて、断じて戦ふべし。大恩のある簡先生の名誉のため、名望高い一門のため、郷党のため児孫のため、わしは断じて折れてはいかん。勝つものは正、敗者は悪だ。けれども 気力! 気力でなしに境地で勝たう。
わしは不識《ふしき》を観じやう。梁の武帝因みに僧〔に〕問ふ、あゝいかん、
梁の武帝達磨に問ふ 磨の曰く無功徳 帝の曰く
朕に対する者は誰ぞ 磨の曰く無功徳 いかん
朕に対する者は誰ぞ 磨の曰く不識! あゝ乱れた
洞源和尚に辞《ことば》もない。
 (東京府平民 高田小助※[#感嘆符二つ、1−8−75])
嗟夫!



底本:「【新】校本宮澤賢治全集 第十二巻 童話5[#「5」はローマ数字、1−13−25]・劇・その他 本文篇」筑摩書房
   1995(平成7)年11月25日初版第1刷発行
※底本の本文は、草稿による。
※本文中〔〕で括られた部分は、底本の編者により校訂された箇所である。〔〕とのみあるのは、そこにあった不要の語句が校訂の結果本文から削除されたことを示す。
 (例(校訂された箇所))この狼〔狽〕!
 (例(語句の削除))一詩を賦〔〕し得るならば
入力:砂場清隆
校正:noriko saito
2008年8月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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