ようなことは、ひばりも言《い》っていました。僕《ぼく》は毎日百|遍《ぺん》ずつ息《いき》をふきかけて百|遍《ぺん》ずつ紅雀《べにすずめ》の毛でみがいてやりましょう」
兎《うさぎ》のおっかさんも、玉を手にとってよくよくながめました。そして言《い》いました。
「この玉はたいへん損《そん》じやすいという事です。けれども、また亡《な》くなった鷲《わし》の大臣《だいじん》が持《も》っていた時は、大噴火《だいふんか》があって大臣《だいじん》が鳥の避難《ひなん》のために、あちこちさしずをして歩いている間に、この玉が山ほどある石に打《う》たれたり、まっかな熔岩《ようがん》に流《なが》されたりしても、いっこうきずも曇《くも》りもつかないでかえって前よりも美《うつく》しくなったという話ですよ」
兎《うさぎ》のおとうさんが申《もう》しました。
「そうだ。それは名高いはなしだ。お前もきっと鷲《わし》の大臣《だいじん》のような名高い人になるだろう。よくいじわるなんかしないように気をつけないといけないぞ」
ホモイはつかれてねむくなりました。そして自分のお床《とこ》にコロリと横《よこ》になって言《い》いま
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