やろうじゃありませんか」と言《い》いました。
 ホモイはちょっとその動物園《どうぶつえん》の景色《ありさま》を考えてみて、たまらなくおもしろくなりました。そこで、
 「やろう。けれども、大丈夫《だいじょうぶ》その網《あみ》でとれるかい」と言《い》いました。
 狐《きつね》がいかにもおかしそうにして、
 「大丈夫《だいじょうぶ》ですとも。あなたは早くパンを置《お》いておいでなさい。そのうちに私はもう百ぐらいは集《あつ》めておきますから」と言《い》いました。
 ホモイは、急《いそ》いで角《かく》パンを取《と》ってお家に帰って、台所《だいどころ》の棚《たな》の上に載《の》せて、また急《いそ》いで帰って来ました。
 見るともう狐《きつね》は霧《きり》の中の樺《かば》の木に、すっかり網《あみ》をかけて、口を大きくあけて笑《わら》っていました。
 「はははは、ご覧《らん》なさい。もう四|疋《ひき》つかまりましたよ」
 狐《きつね》はどこから持《も》って来たか大きな硝子箱《ガラスばこ》を指《ゆび》さして言《い》いました。
 本当にその中には、かけすと鶯《うぐいす》と紅雀《べにすずめ》と、ひわと、四|
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