した。
ひばりの子は草の上に倒《たお》れて、目を白くしてガタガタ顫《ふる》えています。
ホモイも疲《つか》れでよろよろしましたが、無理《むり》にこらえて、楊《やなぎ》の白い花をむしって来て、ひばりの子にかぶせてやりました。ひばりの子は、ありがとうと言《い》うようにその鼠色《ねずみいろ》の顔をあげました。
ホモイはそれを見るとぞっとして、いきなり跳《と》び退《の》きました。そして声をたてて逃《に》げました。
その時、空からヒュウと矢《や》のように降《お》りて来たものがあります。ホモイは立ちどまって、ふりかえって見ると、それは母親のひばりでした。母親のひばりは、物《もの》も言《い》えずにぶるぶる顫《ふる》えながら、子供《こども》のひばりを強く強く抱《だ》いてやりました。
ホモイはもう大丈夫《だいじょうぶ》と思ったので、いちもくさんにおとうさんのお家《うち》へ走って帰りました。
兎《うさぎ》のお母さんは、ちょうど、お家で白い草の束《たば》をそろえておりましたが、ホモイを見てびっくりしました。そして、
「おや、どうかしたのかい。たいへん顔色が悪《わる》いよ」と言《い》いながら棚《
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