かわり私の鶏《とり》をとるのを、あなたがとめてはいけませんよ」
「いいとも」とホモイが申《もう》しました。
すると狐《きつね》が、
「それでは今日の分、もう二つ持《も》って来ましょう」と言《い》いながらまた風のように走って行きました。
ホモイはそれをおうちに持《も》って行ってお父さんやお母さんにあげる時の事《こと》を考えていました。
お父さんだって、こんなおいしいものは知らないだろう。僕《ぼく》はほんとうに孝行《こうこう》だなあ。
狐《きつね》が角《かく》パンを二つくわえて来てホモイの前に置《お》いて、急《いそ》いで「さよなら」と言《い》いながらもう走っていってしまいました。ホモイは、
「狐《きつね》はいったい毎日何をしているんだろう」とつぶやきながらおうちに帰りました。
今日はお父さんとお母さんとが、お家の前で鈴蘭《すずらん》の実《み》を天日《てんぴ》にほしておりました。
ホモイが、
「お父さん。いいものを持《も》った来ましたよ。あげましょうか。まあちょっとたべてごらんなさい」と言《い》いながら角《かく》パンを出しました。
兎《うさぎ》のお父さんはそれを受《う》
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