》を全体《ぜんたい》誰《だれ》がたべるのだ」
ホモイは泣《な》きだしました。りすはしばらくきのどくそうに立って見ておりましたが、とうとうこそこそみんな逃《に》げてしまいました。
兎《うさぎ》のお父さんがまた申《もう》しました。
「お前はもうだめだ。貝《かい》の火を見てごらん。きっと曇《くも》ってしまっているから」
兎《うさぎ》のおっかさんまでが泣《な》いて、前かけで涙をそっとぬぐいながら、あの美しい玉のはいった瑪瑙《めのう》の函《はこ》を戸棚《とだな》から取り出しました。
兎《うさぎ》のおとうさんは函《はこ》を受けとって蓋《ふた》をひらいて驚《おどろ》きました。
珠《たま》は一昨日《おととい》の晩《ばん》よりも、もっともっと赤く、もっともっと速《はや》く燃《も》えているのです。
みんなはうっとりみとれてしまいました。兎《うさぎ》のおとうさんはだまって玉をホモイに渡《わた》してご飯《はん》を食べはじめました。ホモイもいつか涙《なみだ》がかわきみんなはまた気持ちよく笑《わら》い出しいっしょにご飯《はん》をたべてやすみました。
*
次《つぎ》の朝早くホモイはまた
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