。日がまはるたびに練瓦のジグザグな影も青く移る。あとは石炭からと鋸屑で花がなくてもひとつの模様をこさえこむ。それなのだ。もう今日はだめだ。設計図を拵えて来て院長室で二人きりで相談しなければだめだと考へた。
おれはこの愉快な創造の数時間をめちゃめちゃに壊した窓のたくさんの顔をできるだけ強い表情でにらみまはした。ところが誰もおれを見てゐなかった。次におれはその憐れむべき弱い精神の学士を見た。それからあんまり過鋭な感応体おれを撲ってやりたいと思った。



底本:「【新】校本宮澤賢治全集 第十二巻 童話5[#「5」はローマ数字、1−13−25]・劇・その他 本文篇」筑摩書房
   1995(平成7)年11月25日初版第1刷発行
※底本の本文は、草稿による。
※本文中〔〕で括られた部分は、底本の編者により校訂された箇所である。
 (例)建物の影が落ちて呉れ〔る〕限界を
入力:砂場清隆
校正:noriko saito
2008年8月25日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制
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