よ。今日はもうお前たちみんな罰《ばっ》しなければならない。」
狐の生徒らはみんな耳を伏《ふ》せたり両手を頭にあげたりしょんぼりうなだれました。先生は私の方へやって来ました。
「ご参観でいらっしゃいますか。」
私はどうせ序《ついで》だ、どうなるものか参観したいと云ってやろう、今日は日曜なんだけれども、さっきベルも鳴ったし、どうせ狐のことだからまたいい加減の規則もあって、休みだというわけでもないだろうと、ひとりで勝手に考えました。
「ええ、ぜひそう願いたいのです。」
「ご紹介《しょうかい》はありますか。」
私はふと、いつか幼年画報に出ていたたけしという人の狐小学校のスケッチを思い出しました。
「画家のたけしさんです。」
「紹介状はお持ちですか。」
「紹介状はありませんがたけしさんは今はずいぶん偉《えら》いですよ。美術学院の会員ですよ。」
狐の先生はいけませんというように手をふりました。
「とにかく、紹介状はお持ちにならないですね。」
「持ちません。」
「よろしゅうございます。こちらへお出《い》で下さい。ただ今丁度ひるのやすみでございますが、午后の課業をご案内いたします。」
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