ント二パーセントもあるのです。鶏の肉はただこのように滋養に富むばかりでなく消化もたいへんいいのです。殊《こと》に若い鶏の肉ならば、もうほんとうに軟《やわら》かでおいしいことと云ったら、」先生は一寸《ちょっと》唾《つば》をのみました、「とてもお話ではわかりません。食べたことのある方はおわかりでしょう。」
生徒はしばらくしんとしました。校長さんもじっと床《ゆか》を見つめて考えています。先生ははんけちを出して奇麗《きれい》に口のまわりを拭《ふ》いてから又云いました。
「で一般に、この鶏の肉に限らず、鳥の肉には私たちの脳神経を養うに一番大事な燐《りん》がたくさんあるのです。」
こんなことは女学校の家事の本に書いてあることだ、やっぱり仲々程度が高い、ばかにできないと私は思いました。先生は又つづけます。
「その鶏の卵も大へんいいのです。成分は鶏の肉より蛋白質は少し少く、脂肪は少し多いのです。これは病人もよく使います。それから次は油揚《あぶらあげ》です。油揚は昔は大へん供給が充分《じゅうぶん》だったのですけれども、今はどうもそんなじゃありません。それで、実はこれは廃《すた》れた食物であります。成
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