た。教科書がたいてい来たそうだ。ただ測量《そくりょう》と園芸《えんげい》が来ないとか云っていた。あしたは日曜だけれども無《な》くならないうちに買いに行こう。僕は国語と修身《しゅうしん》は農事試験場へ行った工藤《くどう》さんから譲《ゆず》られてあるから残《のこ》りは九|冊《さつ》だけだ。
[#ここで字下げ終わり]


四月五日 日
[#ここから1字下げ]
南万丁目《みなみまんちょうめ》へ屋根換《やねが》えの手伝《てつだ》え[#「え」に「(ママ)」の注記]にやられた。なかなかひどかった。屋根の上にのぼっていたら南の方に学校が長々と横《よこた》わっているように見えた。ぼくは何だか今日は一日あの学校の生徒《せいと》でないような気がした。教科書は明日買う。
[#ここで字下げ終わり]


四月六日 月
[#ここから1字下げ]
今日は入学|式《しき》だった。ぼんやりとしてそれでいて何だか堅苦《かたくる》しそうにしている新入生はおかしなものだ。ところがいまにみんな暴《あば》れ出す。来年になるとあれがみんな二年生になっていい気になる。さ来年はみんな僕《ぼく》らのようになってまた新入生をわらう。そう考《か
前へ 次へ
全31ページ中6ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング