はその場所《ばしょ》では誰《だれ》のもいいとも悪《わる》いとも云わなかった。しばらくやすんでから、こんどはみんなで先生について川の北の花崗岩《かこうがん》だの三|紀《き》の泥岩《でいがん》だのまではいった込《こ》んだ地質《ちしつ》や土性のところを教わってあるいた。図は次《つぎ》の月曜までに清書《せいしょ》して出すことにした。
ぼくはあの図を出して先生に直《なお》してもらったら次の日曜に高橋君《たかはしくん》を頼《たの》んで僕のうちの近所《きんじょ》のをすっかりこしらえてしまうんだ。僕のうちの近くなら洪積《こうせき》と沖積《ちゅうせき》があるきりだしずっと簡単《かんたん》だ。それでも肥料《ひりょう》の入れようやなんかまるでちがうんだから。いまならみんなはまるで反対《はんたい》にやってるんでないかと思う。
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一九二五、十一月十日。
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今日|実習《じっしゅう》が済《す》んでから農舎《のうしゃ》の前に立ってグラジオラスの球根《きゅうこん》の旱《ほ》してあるのを見ていたら武田《たけだ》先生も鶏小屋《にわとりごや》の消毒《しょうどく》だか済んで硫黄
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