かの班に出会った。みんなぼくらの地図をのぞきたがった。
萱の中からは何べんも雉子《きじ》も飛《と》んだ。
耕地整理《こうちせいり》になっているところがやっぱり旱害《かんがい》で稲《いね》は殆《ほと》んど仕付《しつ》からなかったらしく赤いみじかい雑草《ざっそう》が生《は》えておまけに一ぱいにひびわれていた。
やっと仕付かった所《ところ》も少しも分蘖《ぶんけつ》せず赤くなって実《み》のはいらない稲がそのまま刈《か》りとられずに立っていた。耕地整理の先に立った人はみんなの為《ため》にしたのだそうだけれどもほんとうにひどいだろう。ぼくらはそこの土性《どせい》もすっかりしらべた。水さえ来るならきっと将来《しょうらい》は反当《たんあたり》三|石《ごく》まではとれるようにできると思う。
午后《ごご》一時に約束《やくそく》の通り各班《かくはん》が猿ヶ石《さるがいし》川の岸《きし》にあるきれいな安山集塊岩《あんざんしゅうかいがん》の露出《ろしゅつ》のところに集《あつま》った。どこからか小梨《こなし》を貰《もら》ったと云《い》って先生はみんなに分けた。ぼくたちはそこで地図を塗《ぬ》りなおしたりした。先生
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