ブラボオ、ペンペンペンペンペン・ペネム。
おれたちの叫び声は地面をゆすり
その波は一分に二十五ノット
サンムトリの熱い岩漿《がんしょう》にとどいて
とうとうも一度爆発をやった。
フィーガロ、フィガロト、フィガロット。
フィーガロ、フィガロト、フィガロット。」
[#ここで字下げ終わり]
ネネムは踊ってあばれてどなって笑ってはせまわりました。
その時どうしたはずみか、足が少し悪い方へそれました。
悪い方というのはクラレの花の咲いたばけもの世界の野原の一寸《ちょっと》うしろのあたり、うしろと云うよりは少し前の方でそれは人間の世界なのでした。
「あっ。裁判長がしくじった。」
と誰《たれ》かがけたたましく叫んでいるようでしたが、ネネムはもう頭がカアンと鳴ったまままっ黒なガツガツした岩の上に立っていました。
すぐ前には本当に夢《ゆめ》のような細い細い路《みち》が灰色の苔《こけ》の中をふらふらと通っているのでした。そらがまっ白でずうっと高く、うしろの方はけわしい坂で、それも間もなくいちめんのまっ白な雲の中に消えていました。
どこにたった今歌っていたあのばけもの世界のクラ
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