ネンネンネン・ネネム裁判長
 その威《い》オキレの金角とならび
 まひるクラレの花の丘に立ち
 遠い青びかりのサンムトリに命令する。

 青びかりの三角のサンムトリが
 たちまち火柱を空にささげる。
 風が来てクラレの花がひかり
 ペンネンネンネンネン・ネネムは高く笑う。
  ブラボオ。ペンネンネンネンネン・ネネム
  ブラボオ、ペンペンペンペンペン・ペネム。」
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 その時サンムトリが丁度第四回の爆発をやりました。
「ガアン、ドロドロドロドロ、ノンノンノンノンノン。」
 ネネムをはじめばけものの検事も判事もみんな夢中《むちゅう》になって歌ってはねて踊《おど》りました。
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「フィーガロ、フィガロト、フィガロット。
 風が青ぞらを吼《ほ》えて行けば
 そのなごりが地面に下って
 クラレの花がさんさんと光り
 おれたちの袍《ほう》はひるがえる。
 さっきかけて行った風が
 いまサンムトリに届いたのだ。
 そのまっ黒なけむりの柱が
 向うの方に倒《たお》れて行く。
 フィーガロ、フィガロト、フィガロット。
  ブラボオ、ペンネンネンネンネン・ネネム
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