がぷうっと高く高く噴きあげました。
 それから黄金《きん》色の熔岩《ようがん》がきらきらきらと流れ出して見る間にずっと扇形《おうぎがた》にひろがりました。見ていたものは
「ああやったやった。」
とそっちに手を延して高く叫びました。
「やったやった。とうとう噴いた。」
とペンネンネンネンネン・ネネムはけだかい紺青《こんじょう》色にかがやいてしずかに云いました。
 その時はじめて地面がぐらぐらぐら、波のようにゆれ
「ガーン、ドロドロドロドロドロ、ノンノンノンノン。」と耳もやぶれるばかりの音がやって来ました。それから風がどうっと吹《ふ》いて行って忽ちサンムトリの煙は向うの方へ曲り空はますます青くクラレの花はさんさんとかがやきました。上席判事が云いました。
「裁判長はどうも実に偉い。今や地殻《ちかく》までが裁判長の神聖な裁断に服するのだ。」
 二番目の判事が云いました。
「実にペンネンネンネンネン・ネネム裁判長は超怪《ちょうかい》である。私はニイチャの哲学が恐《おそ》らくは裁判長から暗示を受けているものであることを主張する。」
 みんなが一度に叫《さけ》びました。
「ブラボオ、ネネム裁判長。ブ
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