に傍線]が高いからです。
とにかくそこでペンネンネンネンネン・ネネムはすっかり安心しました。
五、ペンネンネンネンネン・ネネムの出現
ペンネンネンネンネン・ネネムは独立もしましたし、立身もしましたし、巡視《じゅんし》もしましたし、すっかり安心もしましたから、だんだんからだも肥《ふと》り声も大へん重くなりました。
大抵の裁判はネネムが出て行って、どしりと椅子《いす》にすわって物を云おうと一寸|唇《くちびる》をうごかしますと、もうちゃんときまってしまうのでした。
さて、ある日曜日、ペンネンネンネンネン・ネネムは三十人の部下をつれて、銀色の袍《ほう》をひるがえしながら丘へ行きました。
クラレという百合《ゆり》のような花が、まっ白にまぶしく光って、丘にもはざまにもいちめん咲いて居りました。ネネムは草に座って、つくづくとまっ青な空を見あげました。
部下の判事や検事たちが、その両側からぐるっと環《わ》になってならびました。
「どうだい。いい天気じゃないか。
ここへ来て見るとわれわれの世界もずいぶんしずかだね。」ネネムが云いました。
みんなの影法師《かげぼうし》が草にまっ黒
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