りました。みんなはいつの間にかそれを摺臼《すりうす》にかけていました。大きな唐箕がもう据《す》えつけられてフウフウフウと廻っていました。
舞台が俄かにすきとおるような黄金《きん》色になりました。立派なひまわりの花がうしろの方にぞろりとならんで光っています。それから青や紺や黄やいろいろの色硝子《いろガラス》でこしらえた羽虫が波になったり渦巻《うずまき》になったりきらきらきらきら飛びめぐりました。
うしろのまっ黒なびろうどの幕が両方にさっと開いて顔の紺色な髪《かみ》の火のようなきれいな女の子がまっ白なひらひらしたきものに宝石を一杯《いっぱい》につけてまるで青や黄色のほのおのように踊って飛び出しました。見物はもうみんなきちがい鯨《くじら》のような声で
「ケテン! ケテン!」とどなりました。
女の子は笑ってうなずいてみんなに挨拶《あいさつ》を返しながら舞台の前の方へ出て来ました。
黒いばけものはみんなで麦の粒をつかみました。
女の子も五六つぶそれをつまんでみんなの方に投げました。それが落ちて来たときはみんなまっ白な真珠《しんじゅ》に変っていました。
「さあ、投げ。」と云いながら十人の
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