《ぴき》のみじんこから、だんだん枝《えだ》がついたり、足が出来たりして発達しはじめて以来、こんな名判官は実にはじめてだとみんなが申しました。
 シャァロンというばけものの高利貸でさえ、ああ実にペンネンネンネンネン・ネネムさまは名判官だ、ダニーさまの再来だ、いやダニーさまの発達だとほめた位です。
 ばけもの世界長からは、毎日一つずつ位をつけて来ましたし、勲章《くんしょう》を贈《おく》ってよこしましたので、今はその位を読みあげるだけに二時間かかり、勲章はネネムの室《へや》の壁《かべ》一杯になりました。それですから、何かの儀式《ぎしき》でネネムが式辞を読んだりするときは、その位を読むのがつらいので、それをあらかじめ三十に分けて置いて、三十人の部下に一ぺんにがやがやと読み上げて貰《もら》うようにしていましたが、それでさえやはり四分はかかりました。勲章だってその通りです。どうしてネネムの胸につけ切れるもんではありませんでしたから、ネネムの大礼服の上着は、胸の処《ところ》から長さ十|米《メートル》ばかりの切れがずうと続いて、それに勲章をぞろっとつけて、その帯のようなものを、三十人の部下の人たちがぞ
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