はびっくりしたらしく、
「全くご明察の通りです。」と答えました。
「それではあなたは無断で家から逃げておいでになりましたね。お母さんが大へん泣いておいでですよ。」とネネムが云いました。
「いや、全く。実は昨晩も電報を打ちましたようなわけで、実はその、逃げたというわけでもありません。丁度一昨昨日の朝、一寸した用事で家から大学校の小使室まで参りましたのですが、ついそのフゥフィーボー博士の講義につり込まれまして昨日まで三日というもの、聴《き》いたり落第したり、考えたりいたしました。昨晩やっと及第《きゅうだい》いたしましてこちらに赴任《ふにん》いたしました。」
「ハッハッハ。そうですか。それは結構でした。もう電報をおかけでしたか。」
「はい。」
そこでネネムも全く感服してそれから警察長の家を出てそれから又グルグルグルグル巡視をして、おひるごろ、ばけもの世界裁判長の官邸に帰りました。おひるのごちそうは藁《わら》のオムレツでした。
四、ペンネンネンネンネン・ネネムの安心
ばけもの世界裁判長、ペンネンネンネンネン・ネネムの評判は、今はもう非常なものになりました。この世界が、はじめ一|疋
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