セントです、一キログラムは鰯ならまあ五百疋ですねえ、みなさん海岸へ行ってめまいをしてはいけません。また農場へ行ってめまいをしてもいけません、なぜなら、その魚粕をつかうとキャベジでも麦でもずいぶんよく穫《と》れます。おまけにキャベジ一つこさえるには、百疋からの青虫を除《と》らなければならないのですぜ。それからみなさんこの町で何か煮《に》たものをめしあがったり、お湯をお使いになるときに、めまいを起さないように願います。この町のガスはご存知の通り、石炭でなしに、魚油を乾溜《かんりゅう》してつくっているのですから。いずれ又お目にかかって詳《くわ》しく申しあげましょう。」
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この宣伝書を読んでしまったときは、白状しますが、私たちはしばらくしんとしてしまったのです。どうも理論上この反対者の主張が勝っているように思われたのであります。それとて、私も、又トルコから来たその六人の信者たちも、ビジテリアンをやめようとか、全く向うの主張に賛成だとかいうのでもなく、ただ何となくこの大祭のはじまりに、けちをつけられたのが不愉快《ふゆかい》だったのであります。余興として笑ってしまうには、
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