バキチの仕事
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)ご存《ぞん》じ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|疋《ぴき》
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「ああそうですか、バキチをご存《ぞん》じなんですか。」
「知ってますとも、知ってますよ。」
「バキチをご存じなんですか。
小学校でご一緒《いっしょ》ですか、中学校でご一緒ですか。いいやあいつは中学校なんど入りやしない。やっぱり小学校ですか。」「兵隊《へいたい》で一緒です。」
「ああ兵隊で、そうですか、あいつも一等卒《いっとうそつ》でさね、どうやってるかご存じですか。」「さあ知りません。隊で分れたきりですから。」
「ああ、そうですか、そいじゃ私のほうがやっぱり詳《くわ》しく知ってます。この間まで馬喰《ばくろう》をやってましたがね。今ごろは何をしているか全《まった》く困《こま》ったもんですよ。」
「どうして馬喰をやめたでしょう。」
「だめでさあ、わっしもずいぶん目をかけました。でもどうしてもだめなんです。あいつは隊をさがってからもとの大工《だいく》にならないで巡査《じゅんさ》を志願《しがん》したのです。」「そし
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