シグナルとシグナレス
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)赤眼《あかめ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)七、八|里《り》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから1字下げ]
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「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
さそりの赤眼《あかめ》が 見えたころ、
四時から今朝《けさ》も やって来た。
遠野《とおの》の盆地《ぼんち》は まっくらで、
つめたい水の 声ばかり。
ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
凍《こご》えた砂利《じゃり》に 湯《ゆ》げを吐《は》き、
火花を闇《やみ》に まきながら、
蛇紋岩《サアペンテイン》の 崖《がけ》に来て、
やっと東が 燃《も》えだした。
ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
鳥がなきだし 木は光り、
青々川は ながれたが、
丘《おか》もはざまも いちめんに、
まぶしい霜《しも》を 載《の》せていた。
ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
やっぱりかけると あったかだ、
僕《ぼく
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