ょにすわりたいですねえ」
「ええ」
「けれどあすこには汽車はないんですねえ、そんなら僕《ぼく》畑《はたけ》をつくろうか。何か働《はたら》かないといけないんだから」
「ええ」
「ああ、お星さま、遠くの青いお星さま、どうか私どもをとってください。ああなさけぶかいサンタマリヤ、まためぐみふかいジョウジ スチブンソンさま、どうか私どものかなしい祈《いの》りを聞いてください」
「ええ」
「さあいっしょに祈りましょう」
「ええ」
「あわれみふかいサンタマリヤ、すきとおる夜の底《そこ》、つめたい雪の地面《じめん》の上にかなしくいのるわたくしどもをみそなわせ、めぐみふかいジョウジ スチブンソンさま、あなたのしもべのまたしもべ、かなしいこのたましいの、まことの祈りをみそなわせ、ああ、サンタマリヤ」
「ああ」
星はしずかにめぐって行きました。そこであの赤眼《あかめ》のさそりが、せわしくまたたいて東から出て来、そしてサンタマリヤのお月さまが慈愛《じあい》にみちた尊《とうと》い黄金《きん》のまなざしに、じっと二人を見ながら、西のまっくろの山におはいりになった時、シグナル、シグナレスの二人は、祈りにつかれても
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