ょ》なく使《つか》うがいい。おい。きさまこの穴《あな》にはいって行け。」タネリはこわくてもうぶるぶるふるえながらそのまっ暗《くら》な孔《あな》の中へはい込《こ》んで行きましたら、ほんとうに情《なさ》けないと思いながらはい込んで行きましたら犬神はうしろから砂《すな》を吹《ふ》きつけて追《お》い込むようにしました。にわかにがらんと明るくなりました。そこは広い室であかりもつき砂がきれいにならされていましたがその上にそれはもうとても恐《おそ》ろしいちょうざめが鉢巻《はちまき》をして寝《ね》ていました。(こいつのつらはまるで黒と白の棘《とげ》だらけだ。こんなやつに使《つか》われるなんて、使われるなんてほんとうにこわい。)タネリはぶるぶるしながら入口にとまっていました。するとちょうざめがううと一つうなりました。タネリはどきっとしてはねあがろうとしたくらいです。「うう、お前かい、今度《こんど》の下男は。おれはいま病気《びょうき》でね、どうも苦《くる》しくていけないんだ。(以下原稿空白)
底本:「ポラーノの広場」角川文庫、角川書店
1996(平成8)年6月25日初版発行
底本の親本:「新校
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