っかりむしゃくしゃして、また早口に言いました。そうでしょう。クねずみはいちばんはじめの一に一をたして二をおぼえるのに半年かかったのです。
「一に二をかけると二です。」
「そうともさ。」
「一を二で割ると……。」クねずみはまたつまってしまいました。すると猫の子供らはまた一度に声をそろえて、
「一割る二では半分だよ。」と叫びました。
クねずみはあんまり猫《ねこ》の子供らの賢いのがしゃくにさわって、思わず「エヘン。エヘン。エイ。エイ。」
とやりました。すると猫の子供らは、しばらくびっくりしたように、顔を見合わせていましたが、やがてみんな一度に立ちあがって、
「なんだい。ねずめ、人をそねみやがったな。」と言いながらクねずみの足を一ぴきが一つずつかじりました。
クねずみは非常にあわててばたばたして、急いで「エヘン、エヘン、エイ、エイ。」とやりましたがもういけませんでした。
クねずみはだんだん四方の足から食われて行って、とうとうおしまいに四ひきの子猫は、クねずみの胃の腑《ふ》のところで頭をコツンとぶっつけました。
そこへ猫大将が帰って来て、
「何か習ったか。」とききました。
「ねずみをとる
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