カイロ団長
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)一緒《いっしょ》に
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三十|疋《ぴき》
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あるとき、三十|疋《ぴき》のあまがえるが、一緒《いっしょ》に面白《おもしろ》く仕事をやって居《お》りました。
これは主に虫仲間からたのまれて、紫蘇《しそ》の実やけしの実をひろって来て花ばたけをこしらえたり、かたちのいい石や苔《こけ》を集めて来て立派なお庭をつくったりする職業《しょうばい》でした。
こんなようにして出来たきれいなお庭を、私どもはたびたび、あちこちで見ます。それは畑の豆《まめ》の木の下や、林の楢《なら》の木の根もとや、又《また》雨垂《あまだ》れの石のかげなどに、それはそれは上手に可愛《かあい》らしくつくってあるのです。
さて三十疋は、毎日大へん面白くやっていました。朝は、黄金色《きんいろ》のお日さまの光が、とうもろこしの影法師《かげぼうし》を二千六百寸も遠くへ投げ出すころからさっぱりした空気をすぱすぱ吸って働き出し、夕方は、お日さまの光が木や草の緑を飴色《あめいろ》にうきうきさせるまで
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