りのようなかびの木などは、一つかみ五百本にもなるじゃありませんか。」
なるほどとみんなはよろこんでそのけむりのようなかびの木を一人が三十三本三分三厘ずつ取って、蟻にお礼を云って、カイロ団長のところへ帰って来ました。すると団長は大機嫌《だいきげん》です。
「ふんふん。よし、よし。さあ、みんな舶来《はくらい》ウィスキーを一杯《いっぱい》ずつ飲んでやすむんだよ。」
そこでみんなは粟《あわ》つぶのコップで舶来ウィスキーを一杯ずつ呑んで、くらくら、キーイキーイと、ねむってしまいました。
次の朝またお日さまがおのぼりになりますと、とのさまがえるは云いました。
「おい、みんな。集れ。今日もどこからも仕事をたのみに来ない。いいか、今日はな、あちこち花畑へ出て行って花の種をひろって来るんだ。一人が百つぶずつ、いや百つぶではすくない。千つぶずつ、いや、千つぶもこんな日の長い時にあんまり少い。万|粒《つぶ》ずつがいいかな。万粒ずつひろって来い。いいか、もし、来なかったらすぐお前らを巡査《じゅんさ》に渡《わた》すぞ。巡査は首をシュッポンと切るぞ。」
あまがえるどもはみんな、お日さまにまっさおにすきとお
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