ころが次の日救助係がまるでちがった人になってしまひ、泥岩の中からは空想よりももっと変なあしあとなどが出て来たのです。その半分書いた分だけを実習がすんでから教室でみんなに読みました。
 それを読んでしまふかしまはないうち、私たちは一ぺんに飛び出してイギリス海岸へ出かけたのです。
 丁度この日は校長も出張から帰って来て、学校に出てゐました。黒板を見てわらってゐました、それから繭を売るのが済んだら自分も行かうと云ふのでした。私たちは新らしい鋼鉄の三本鍬《さんぼんぐは》一本と、ものさしや新聞紙などを持って出て行きました。海岸の入口に来て見ますと水はひどく濁ってゐましたし、雨も少し降りさうでした。雲が大へんけはしかったのです。救助係に私は今日は少しのお礼をしようと思ってその支度もして来たのでしたがその人はいつもの処に見えませんでした。私たちはまっすぐにそのイギリス海岸を昨日の処に行きました。それからていねいにあのあやしい化石を掘りはじめました。気がついて見ると、みんなは大抵ポケットに除草鎌《ぢょさうがま》を持って来てゐるのでした。岩が大へん柔らかでしたから大丈夫それで削れる見当がついてゐたのでし
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